国際協力学専攻では、多様な学術的バックグラウンドを持った学生が国際協力に関連した知識を効率よく学べるように、講義を配置しています。
修士課程1年次に履修する講義では、文献の検索の仕方、論文の書き方、発表の仕方といった基本的な作法のほか、統計学・計量経済学や空間情報学の理論と実習を行い、研究のツールを習得してもらいます。
その後は、より高度な知識(例えばゲーム理論、経済理論、数理社会モデルなど)や、それを現実の問題に応用する力を身につけていくための科目を履修していきます(詳細は以下の表を参照してください)。
応用的な科目では、単に知識を学習するだけではなく、講義の中での議論やプレゼンテーション、グループ単位での調査研究などが組み込まれており、自分で問題を発見し、分析する力が養われていきます。また、フィールドワークを実習の中で学んでいく科目もあります。
また、専攻での講義の約半分は英語によるもので、留学生も2~3割程度いますので、英語によるコミュニケーション能力をつけていくこともできます。
しかし、国際協力学専攻での最大の学びは、講義によってではなく、修士論文・博士論文を書くことによって得られます。
博士課程はもちろん、修士課程においても修了論文は必須です。多くの学生は、そのために大量の文献を読むだけではなく、以下に示す通り世界各地でフィールドワークを行っています。フィールドワーク先のアポ取りから、データを取って分析するまで、数々の困難が学生を待ち受けています。しかし、それを乗り越えることで、学生たちは講義からは学べない真の実力を身に着けていくのです。
また、論文の提出にあたっては、2~3回のプレゼンテーションが課されます。この過程で、多様なバックグラウンドを持った教員、学生に対して説得的にプレゼンをする技術、文章で表現する技術が鍛えられていきます。
CSAE Conference 2023: Economic Development in Africaに参加した鈴木研藤本丈史さん(当時博士課程3年)
さらに、学生の活動はキャンパスだけにはとどまりません。学生の多くは在学中に国内・国外でインターンを行っています。特に、JICAのインターンには毎年数名が参加しています。所定の条件を満たせば、インターンを単位として認めることがあります。
本専攻の学生はボランティア活動にも熱心です。
東日本大震災後には、学生有志がUT-OAKというボランティア団体を立ち上げ(詳細はこちら)、避難所で被災者の方の生活支援や子供に対する「寺子屋」活動を行いました。
これらの講義、フィールドワーク、論文執筆、インターン、学外活動を通じて、国際協力学専攻の学生はまさに東大の目指す「タフでグローバルな人材」に成長していきます。
特筆すべきなのは、学生たちはむろん教員から多くを学んでいきますが、学生同士で切磋琢磨し、お互いに助け合い、学びあって成長していくことです。そのような「熱い」学生たちが多いのは、本専攻の誇りです。
このように鍛えられた国際協力学専攻の修了生の進路は多様です。
修士課程の修了生は、毎年2~3名が大学院に進学する他、JICA、官庁、自治体、開発コンサルタントなど公的な国際協力に直接関わる機関に就職する人も多くいます。しかし、国際協力学専攻で鍛えられた「タフでグローバル」という能力が発揮できるのは、国際協力に直接かかわる職場だけではありません。ですので、金融、商社、マスコミなど民間企業に就職する人もたくさんいますし、自分で起業する人もいます。
博士課程の修了生の多くは、大学、研究機関に就職しています。2012年4月現在、明治学院大学、法政大学、東京大学、国立環境研究所などで本専攻の修了生が研究教育を行っています。また、社会人博士は修了後に元の職場でステップアップしていくケースも多くみられますが、研究者として転職するケースもあります。
以下のグラフは最近の修了生の進路状況を表しています。
他にも,新領域創成科学研究科のウェブサイトをご覧ください。