環境正義とは、社会的に恵まれていない人々がより少ない環境恩恵を受けたり、より大きい環境負荷を被ったりする環境をめぐる社会正義の事情を言う。1980年代にアメリカで起きていた環境運動を契機に学術的に研究されるようになり、1990年代にはアジアにも伝わった。貧しい人々や黒人、原住民などのマイノリティーがより汚染された所に住まざるを得なかったという社会的不平等を是正する成果を挙げた。環境正義の概念はアジアやその他の地域にも適用されている。本講演では、まず環境正義の概念と由来、内容について紹介し、次にアジアにおける環境正義の特徴について概観する。これらの背景知識を前提に、第三に日本と中国における環境正義の具体例をいくつか紹介する。最後に、国際環境正義を手がかりに、今後の研究課題を提言する。