東京大学大学院 新領域創成科学研究科 国際協力学専攻

佐藤仁

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佐藤仁(教授)
地域間連関・交流学分野
キーワード:開発研究、東南アジア地域研究
研究室ウェブサイト


  プロフィール

1992年 東京大学教養学部教養学科卒業
1994年 ハーバード大学ケネディ行政学大学院修了(公共政策学修士)
1998年 東京大学大学院総合文化研究科国際社会科学専攻博士課程修了(学術博士)
 
東京大学大学院新領域創成科学研究科助手、同助教授を経て
2009年 東京大学東洋文化研究所 准教授
2015年9月より現職
 
その他、2015年2月-2020年6月プリンストン大学国際・公共政策大学院客員教授。国際開発学会理事(会長2020-)。第10回日本学士院学術奨励賞。第28回大同生命地域研究奨励賞、第21回国際開発研究・大来賞などを受賞。

  最近の研究テーマ

  • 資源環境をめぐる国家・社会関係

  • 国家権力と中間集団

  • 援助の長期的影響

  主な研究業績

  • (著書)「開発協力のつくられ方―自立と依存の生態史」(東京大学出版会)2021 年

  • (松本悟と共編著)「国際協力と想像力―イメージと「現場」のせめぎ合い」(日本評論社)2021年

  • (著書)「反転する環境国家―持続可能性の罠をこえて」(名古屋大学出版会)2019 年

  • (著書)「野蛮から生存の開発論―越境する援助のデザイン」(ミネルヴァ書房)2016年

  • (監訳書)「ゾミア―脱国家の世界史」(みすず書房)2013年

  教育方針

ゼミでは「新領域らしい」学融合的な課題設定/着想と論文化の方法論について勉強します。学生の自主性、主体性を重んじ、ストーリー構築と対外「発信」を重視します。院生同士が支えあう文化が佐藤ゼミの自慢です。博士課程院生には論文出力のために別の研究会を組織しています。

  研究内容

「開発とは何か」。この問いに、日本や東南アジアの歴史から迫っていく。 これから数年間の間、特にこだわってみたい概念が「依存」である。開発は、依存からの脱却であると考えられてきた。開発とは自立することであり、開発協力とは自立を助ける行為であると考えるのが主流である。本当にそうだろうか。自立や競争を中心に置く見方に、大きな問題はないだろうか。自立とは、新たな依存に過ぎないのではないか。そうであれば、良い依存関係を構築していくことこそ、開発のあるべき方向性ではなかろうか。この問題意識を掘り下げるために、私が特に注目しているのが中間集団である。中間集団とは、個人と国家の間に位置する集団のことであり、組合や町内会、企業や学校、宗教団体などが例である。こうした中間団体は、国家権力が人々の暮らしのあらゆる側面を覆いつつある現代、重要な役割を果たしているはずである。インターネットの普及によって、中間集団の形も大きくかわりつつある。開発の方向性やプロセスが、すべて国家権力に回収されてしまわないようにするために、どのような仕組みを考えることができるのか。この問題に、日本を含むアジアの文脈で取り組んでいく。

  学生からのメッセージ

多様な関心や豊かな個性をもつ佐藤研メンバーの特徴は、学生の真剣な顔つきに現れています。普段の修士ゼミは、本郷キャンパスの東洋文化研究所にて学生の発表や輪読を中心に議論が行われます。そこでは、自身のもつ問題意識を多角的に捉えその問題の前提や「問い」を見つめ直すことが必要です。佐藤先生やゼミのメンバーから異なる視点を提示されるなかで、再度自身の問いに立ち返り本気で考え直し続ける営みを通し、学生の顔つきも変わっていきます。また、屈託のない笑顔も佐藤研の特色のひとつです。年に1度の合宿や先生のお宅でのホームパーティ、同窓会などイベントも多く、先生を中心に皆でなんでも話し笑い合えるゼミだと思います。(修士課程修了)